実際のスコアを見る前にスコアについての設定がどのようなものだったかを確認してみます。
大会のブリーフィング
スコアレンジ
2013年: 66-852014年: 65-85
このようにレンジ自体は実はほぼ同様なのです。
ジャッジテストで使われた点数の範囲
2013年: 73-762014年: 72-80
違うラウンドなので単純には比較できませんが、しかしそれでも80点の印象は強くジャッジには今年のほうが点数を広く使うよう求めているようにとらえられる可能性は高いでしょう。
スコアレンジへの説明を抜粋
2013年74-76「ブレイクするかしないか」
77-79「確実にブレイク、top10スピーカーに入る可能性」
80-83「GF、SFレベル」
84-85「確実にベストスピーカー」
2014年
74-76「2勝はするが、ブレイクするかどうかはサイドやモーションに左右される」
77-78「トップ16チームに入ってブレイクはする」
79-80「Quarter Final前後に進出」
81-83「Semi Final-Grand Finalに進出」
84-85「よほどよかったときのみ」
これを見るとややレンジが広がってる感はありますがさほどではありません。
実際のスコア分布
2013年は198人、2014年は192人の参加がありました。その一人一人が各ラウンドごとに取った点数で分布をグラフにすると以下のようになりました。グラフの横軸は点数で左が85点、右が65点です。縦軸はそれぞれの年で全体に対してその点数が着いた比率を示します。たとえば2013年に15%が77点を付けられている、と読むことができます。なおスコアは小数点を切り捨てました。グラフを見ればわかるように2014年は2013年よりも中央の平均点から離れた点数が着くことが多くなりました。標準偏差も2014年が2.54、2013年が1.75でその結論を支持します。74-76に収まるケースは2013年では61%であるのに対し、2014年では47%に減少しました。
ここから形式的なスコアレンジはそのものは実際のスコアリングに大きな影響を持たない可能性が示唆されます。つまり制度上どこまでスコアがつけられるかよりも、ブリーフィングなどで口頭にてレンジを使うようどこまで強調するか、あるいはジャッジテストでどこまで使って見せるかが点数分布を決定する主な要因であることが考えられます。もっとも、レンジが69-81といった狭い大会で、広めに使うようブリーフィングした場合のデータがないため、単なるスコアレンジの広さは実際の広いスコア分布に対して十分条件ではなさそうであることがわかったのみで、必要条件であるのか否かは不明です。