用意するべきもの
1. 養生テープ
壁などに案内を掲示したいとき、紙を貼るためには養生テープを使いましょう。ガムテープでは綺麗にはがれません。2. 太いマーカー
同様に紙に書いて何か示したいとき、細いボールペンなどではらちがあかないので。3. コピー用紙
同上。あとは紙を用意してこない怠惰なジャッジにも配ってあげると喜ばれるが、だいぶたくさん必要になるので微妙。4. 指定ごみ袋
どの自治体の指定かをよく確認すること! たとえばICUで開催するとき最寄りの武蔵境駅は武蔵野市だが、キャンパスは三鷹市だから袋が違う。指定以外の袋ではトラブルのもとなので指定の袋を使う。大会前に自治体のゴミ捨ての規定を確認しておく。5. モバイルルーター
特に国際大会で大学のwifiを参加者に開放する場合に重要。参加者がみんなして使用するとすぐに通信が輻輳して使い物にならなくなるので、大学wifiを当てにしてクラウド上に必要なデータを保管していたりすると悲しい事態になる。6. テーブルタップ
タブその他多数の電子機器を使用したい場面で、大学の教室はだいたいコンセントの数が少ないうえに場所も不便なことがあるので必需品。ランナー・ヘルパーはちゃんとrecognizeしよう
何を当たり前のことをと思うかもしれませんが、これをしていない大会が案外多いのです。パンフレットには名前を載せる、当日(予選最終日の最後のラウンドの前あたり)には出てきてもらって拍手を贈る、大会後にfacebookにふたたび名前とともに感謝を示す、などなど。これらをぜんぶすることはなかなか難しかったとしても、少なくともどれかはしましょう。もちろん個人的にメッセージなど送っているのかもしれないですが、賞賛はなるべく大勢の人の前でやるのが鉄則です。そういった感謝とは別として、どの程度謝礼や交通費を出すかも考えるべきところではあります。少なくとも交通費の実費を支払い、昼食も支給ないしは相当のご飯代を出すことは議論の余地なく必須でしょう。(なお、弁当を注文することが慣例となっていますが、近くで買える場所があるのであれば必ずしも必要ではなく、前述のように同等の現金での支給として省力化するのはありだと思います。)その上で、これだけの待遇ではあまりにしょっぱいなという印象を持っています。もちろん予算の制約はあるでしょうが、一日費やして疲れるのだから、夜になにか食べられる程度、1000円くらい色を付けてもいいのではないでしょうか。なおこれは国際大会ではまったく変わってきます。朝から夜まで大変なのでもっとずっと増やすべきだと思いますし、ICUTではそのようにしていますが、ここでは深入りしません。
一方で、経験上、ランナー・ヘルパーを「謝礼で釣る」ようなことをするのはおすすめしません。小銭稼ぎがしたいというインセンティブで来る人は、その小銭分しか働く気がないからです。むしろそれだったら純粋に――嫌な言葉ですが――「やりがい」だけで来る人のほうがいいです。この問題は特に人員をディベートコミュニティの外(ディベートに興味のないESSの他セクション部員を含みます)から募集するときに生じます。結局のところ、ディベートについてまだあまり知らない一年生などでもがんばってくれればとても戦力になるのですが、それはディベートに関わろうというモチベーションがあるからです。そういうモチベーションで動いていない人を連れて来てもうまくいきません。例外はディベートコミュニティにいないのに友人関係などで無償で協力してくれる人たちで、そういう人はまれにしかいませんが、とてもいい人たちです。
ランナー・ヘルパーの人数を概算する
60から80チーム程度の標準的な規模の大会で、tab担当が2人いると仮定します。- ランナー:ラウンドの部屋数を4で割った数(ただし移動距離が遠い場合はやや増やし、近ければ減らす)
- スコアシートチェック:2人(BP) 3人(NA/Asian)
- ダブルチェック:2人
ただし、タイムテーブルに余裕がない場合はダブルチェックを一人増やしたり、またスコアシートの交通整理を行う係を一人追加する。大会の規模が大きくなってきたときは全体的にさらにスケールを大きくしたいが、指揮するtab担当の経験がある程度ないと大きなチームがあっても効果的に運用できないように思われます。
さらに、以下の担当も必要
- 会場誘導:会場の構造による。計算チェックあるいはダブルチェックと兼任可能
- Swing(shadow):NA/Asianでは1チーム分、BPでは3チーム分が最大で必要になる。もう1チーム欠けたら1部屋削って大会を進めるためこれより多くは不要。ただし、もう1チーム一人だけ欠員したというような場合にそのチームを出場停止にせず、参加させるためにはさらに補充人員が必要になる。(なおこの計算は欠員・欠席チームが朝の時点で確定し変化しないことを前提としている。もし大会途中(2ラウンド目以降)で新たに欠員が生じると、tab上で対戦を手動で組み替えることはできないためまるまるswingで埋める必要がある。特に予選が複数日にわたる国際大会ではこの問題がよく生じる)
なお、swingは計算チェックあるいはダブルチェックと兼任可能(会場誘導とは兼任不可)。また、ランナーとの兼任も条件付きで可能:スコアシート&ジャッジ評価シートの配布と、ラウンド部屋へチームとジャッジが到着したチェックの担当をほかのランナーに移行してプレパレーション時間に仕事がないようにする。ただ、swingとランナーの兼任は端的に疲れるのでなるべく避けること。
バスの輸送力に配慮した計画を
駅から近いキャンパスと違い、某大学のように駅から離れていてバスで移動が必要なキャンパスの場合は考慮する必要があります。特に曜日、時間帯と周囲の学校が学期中かどうかなどで大きく混雑状況が変わることに留意しましょう。限られた経験からなので正しいかどうかはわかりませんが、バスの運転士はどうも乗客数よりも定時運行性のほうが重要なようで(おそらく査定にかかわるのでしょう)、多くの人が押し寄せると乗車を拒否されることがあります。ということで複数の代替ルートを案内できると望ましいです。バスの増便をバス会社に依頼するというオプションもありますが、時間がずれたり人の動きが予想と違ったりするリスクがあるので熟慮のうえ決めてください。
スコアシート・評価シート必要数の計算式(Asian/NA)
- スコアシート:ジャッジの人数分(トレイニーにはいらないけど数が不明だし無視)
- ジャッジ評価Debater to Adjudicator:チームの数と同数
- ジャッジ評価Chair to Panel:[ジャッジの合計人数] - [部屋の数(=チーム数の半分](部屋の数だけチェアがいて、その残りがパネルになって一人一枚分評価されるからこの計算)
- ジャッジ評価Panel to Chair:同上(パネルも一人一枚評価するので)
スコアシート・評価シート必要数の計算式(BP)
- スコアシート:部屋数と同じ(コンセンサスベースのジャッジのため)
このほかはAsian/NAと同じです。
他大学を使う時の配慮
JPDU大会などでもそうですが、とりわけそれ以外の大学主催の大会で、他大学の施設を使うときは、その使い方に配慮しましょう。貸出の名義はその大学のディベート部になっているので、利用時間や利用方法に問題があると今後のその部の存続にも関わります。
ゴミの始末は覚悟
これはもはやtipsでもなんでもないですが、大会をやると残るのはゴミの山です。ほんとうに、ゴミの山です。全く信じられませんが、それだけ不届きな参加者がいるということです。やればわかります。覚悟しておきましょう。レジ落ちなどのポリシーはきちんと決めておくこと
朝のレジストレーションは何時が限界なのか、また本戦でたとえばPre-Octが免除だったらあとから来ていいのか、などあらかじめ決めておきましょう。運営コミ内での連絡手段
コミ内での連絡はいまどきですからLINEを使用、というのが普通ですね。だいたいの人が使えるし、みんなすぐに応答するのが普通になっている。ただ、実際のところ使いにくいことが多いのも事実です。なぜかというと:- 個別のタスクごとに話題を分割して、期限や担当者を設定することができない
- 古い話がどんどん流れていって、忘れ去られるばかりだし検索性もない
そのため、LINEでやりとりしていると「何をいつまでに決めるべきか」がはっきりせず、決断しないまま流れていってしまうことがよくあります。そのため、特に注意して決めるものを決めるように促していく必要があります。その点、グループウェアのたぐいを使うと機能は優れているのですが、だいたいみんな使い方がわからない、まめにチェックしない、そして発言しないという三重苦になって機能不全に陥るので、大会運営コミにおいてその手のものを使うのは難しいという結論に至りました。慣れているメンバーだったらいけるかもしれませんが。facebookのグループはlineよりも話題の分割ができるという点でましなので、適宜活用していきましょう。もし可能そうならSlackなどを使ってみられるとよいかなと思います。
組織運営
一般的なことはそのへんの書籍とかにもいろいろ書いてあるのでいいとして、考慮しないといけないのは学生団体による活動はいろいろと特異な点があり、特にメンバー間で温度差が問題になりがちです。リーダーになるような人は運営を何よりも優先するつもりでいたとしても、メンバーのやる気はばらばらです。「バイトして、レポート書いて、テレビ見て、あと最近出たゲームやって、そこまでやってからまだ時間あったらやるかな」、くらいの優先順位かもしれません。そういう人は何かにつけて「忙しいから」、と言います。そりゃそうでしょう。だってほかにやることはたくさんありますから。けっきょく生活をどこまで削るかしだいなわけです。もちろん本当に忙しくてたまらない人もいるでしょうが、そういう人は通常メンバーになりません。ただむずかしいのは、人によって優先順位が違うことを責めることもできないということです。そこでリーダーが空回りしてしまうのが悪いパターンの始まりです。人間関係が崩れていくとどんどん悪い方に進んでいってしまいます。けっきょく、こういうところでいわゆる「仕事術」みたいなものはなかなか通用しません。みんながフルタイムでやってるわけじゃないからです。一番意識しないといけないのは"everyone is on the same page"であること。つまりみんながゴールの意識を共有して、現状認識も共有することです。学年や下だったり経験が少ないメンバーが傍観者的にならないように、また優先順位を高くしてくれないメンバーもきちんと関わるようにする必要があります。その点、一般には会って会議するのは無駄だと言われますが、この手の活動ではまめに顔を合わせたほうがいいと考えます。もちろんだらだらと会議を続けるのはよくありません。特に少数しか発言していないときには。そのへんはファシリテーションの技術が問われます(ディベートに関わる人でもそういった他の議論の技術に関心を持っている人はあまりいないように感じます。私もなにかわかるわけではありませんが)。
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